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[コメント] ボルベール 帰郷(2006/スペイン)

ペネロペ・ルクスはいいが、女性のための映画ではないと思う
tamic

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ペドロ・アルモドバルの映画は女性賛歌とよく言われるようだが、女性である私にはそう思えない。男による妄想女性賛歌映画だと感じる。

女は子どもを産むから強い、と思いこんでいる男の妄想映画。ママって最高映画じゃないだろうか。

女ってママって強いということを表現するために、実父に犯され身ごもった娘を育て、同じような目にあうその娘を体を張って守る、というおぞましい仕組みを考え付くこと自体すごい妄想力。

途中まで楽しんで見ていたが、ペネロペの過去が明らかになった時点で脱落。無理。

男にとって生命を生み出す機能を持つ女という存在がいかに理解不能で恐いか、男の存在を脅かすものであるかということを感じる。異性愛者にとっても、同性愛者にとっても。

この映画の中でその存在感のなさが同情される男たちは異性愛者だ。ペドロ・アルモドバルにとって異性愛者の男性の存在とはそういうものなのだろう。そして、その異性愛者の男に傷つけられた女たちに彼は寄り添い、賛歌する。

話の作りも撮り方もうまいと思うし、ペネロペはよかった。映画の出来としては4点。しかし、私は子どもを産み、育てていますが、そんな妄想世界の人形である女たちに共感も励ましもカタルシスも何も感じません。

(評価:★4)

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