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[コメント] ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007/日)

予想以上のクオリティに感激した。次回作以降にも期待したい。 今度は逃げちゃダメだ。
サイモン64

「エヴァンゲリオン」という作品は私にとっては複雑な作品だ。とても好きな作品でもあり、その一方ではものすごくイライラさせられる作品でもある。

従来のヒーローものの枠組みだと、主人公は最後には覚醒してバッタバッタと敵をなぎ倒し、我々にカタルシスを与えてくれるのだが、エヴァは最後までもやもやしたままという驚きの展開だった。その上、これでもかとちりばめられた無数の謎は最後まで解かれないまま終わっちゃうのである。私はこのことに関して作者の逃げだと感じたが、実際のところどうなのかはわからない。

主人公のシンジ君は最後までメソメソしていて私をイライラさせたが、結局私だってシャッキリしてるわけでもなし、主人公に自分の期待を投影させて鬱憤晴らしなんて言う枠組み自体が古いってことなのかもしれない。ただ、なんだかんだ言いながらもこの番組を見ていた当時の私自身精神状態が良くなくて、自分までシンジ君みたいに引きこもってしまいそうになったほど思い入れの深い作品でもある。

まあ、そんなこんな、いろいろと思うところのあるエヴァであるが、このたび劇場品質になって帰ってきた。今作はその四部作の第一話であるという。

お話はテレビ版をなぞっていて、それでいてテレビの30分ヒーローアニメという制約からは解放された雰囲気を感じる。終盤ヤシマ作戦をクライマックスに持ってくる作りはなかなか手慣れているというところか。使用武器のデザイン変更もすばらしい。なんと言っても、この作画クオリティでのヤシマ作戦を再体験できたことには本当に感激したし、「別れ際にさよならなんて、そんな悲しいこと言うなよ」から「笑えばいいと思うよ」までのシーケンスには涙が出た。

序盤の物語は基本を押さえながら予想以上のできだった。そして今後の展開は少々テレビ版と異なることがラストでほのめかされ、次回作以降にも非常に期待を持った。今度こそ広げた風呂敷はたたんでもらいたい。逃げちゃダメだ。

余談ながら、宇多田ヒカルのエンドロール曲もすごくよかったと思う。意外にも "Fly me to the moon." がかからなかったのも良かった。

(評価:★5)

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