私は自分で自分の飲む酒の量をコントロールできない輩が大嫌いだ。まして、薬と酒を併用するなんて以ての外だ、有り得ない。だから、平気平気と言いならが安易にそれをする内田有紀にイライラさせられっぱなしだった。

が、宮藤官九郎の手紙からやがて明らかになる真実。内田有紀には明確な自殺願望があった。あれが彼女の無知無教養ゆえの事故ではなかった事に、逆にホッとしたんだ。いや、自殺の是非はこの際、脇に置いといて。

だとしたら、彼女は正常なのに間違って病院に入れられたのではない。きちんと治療をし、平常心を取り戻す為に、あの空間は必要だったんだ。彼女の人生の中であの病院での二週間は、良い意味でも、悪い意味でも、永遠に心に残ると思うし、入院前、入院後と分けられるほど、人生が変わるような、そんな気がする。

内田有紀の、軽いのに、ふと我が身を振り返って苦しむ姿が素晴らしく上手い。りょうの氷のような無表情も、この人以外この役が出来る人はいないと思うほどハマってた。大竹しのぶも凄いなぁ。呑気な口調の嫌な女を演らせたら、この人の右に出る人っていない。