[コメント] ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
じつは新聞屋さんからタダ券をもらっていたのですが、多忙を理由に映画館には行きませんでした。「続編」だし、前作以上のものはないだろう、と思って。だから今回予想以上で楽しめました。
確かにしっかりと「続・編」でした。「パート2」ではなく。まるで前回を「第一話」として、さらりと自然に「第二話」が続いているよう。「パート2」が往々にして、肩に力の入ったものとなって空ぶることが多いことを考えると、簡単なようでいて難しい挑戦だったと思います。
『キサラギ』で、笑いあり涙ありのステキ脚本を見せてくれた古沢良太のノリはここでも健在で、ベタなくすぐりもなんとなく憎めません。「デリカシーってなに?」「外国の菓子かな」。日活映画をみんなで観たあとで、映画館から何人も「にわか裕次郎」が出てくるのも楽しかった。ひさしぶりに姿を見せた平田満が、肉体労働を続けていたことをうかがわせるように、日に焼けているところ、とか。旧友四、五人でわいわいといっしょにご飯を食べながら観た事が、よりいっそうこの映画の面白さを増していたことは間違いありません。
一緒に観ていた子がいちばん喜んでいたのは、「第一話」で、冷蔵庫の出現によって悲しい思いをしていた「氷屋」さん(ピエール瀧)が、みごと「第二話」では「アイスクリーム屋」となって復活していたこと。だとすると勝手な想像の「第三話」では、東京タワーならぬ昭和30年代の「大阪」も舞台となり、かつての通天閣や道頓堀に現代関西人は大喜び、大橋さんのエピソードが展開する、なんてこともアリかもしれません。
***********
そんな中で、この映画の中でいちばん印象的だったのは、くりかえされる役者さんによる「無言の演技」のシーンでした。「台詞のない台詞」と言うか。
*同窓会の次の朝起きた鈴木さんが、写真を見ながら気づきの表情をするところ。
*あわてて手を振る淳之介
*酔っ払って帰ってきた茶川さんが、水道で頭を洗いながら、壁を何度も叩くところ。
*日本橋から家に帰ってきたトモエさんが、寝ている夫の姿を見たあとにする表情。
*道を歩きながら、涙がとめられないヒロミ。
*とーさんにどしんと体当たりをする一平
そこに言葉はないのだけれど、観た人が全員キチンと同じ解釈ができる「無言の台詞」を、じっくりと時間をかけて表現している。「「わかりやすすぎる」ことをやりとげるむずかしさ」をクリアしているところに、ベタなドラマにちょっとした味わいと奥行きが、でもしっかりと加わっていることを感じました。
それにしても川渕さんの言っていることは、いちいち全部もっともだ。本当にいい人だと思う。でも、「もっともらしい親」と言うのは、子供にとっていちばん迷惑な存在なのだね。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。