[コメント] Little DJ 小さな恋の物語(2007/日)
「小さな恋」と題しながら、少年少女の心情描写はおざなりで、際だつのは大人の右往左往ぶり。触媒となるべきDJというコミュニケーション行為もただのお遊びにか見えない。8割は女性客と思しき試写会場で、嗚咽の気配に包まれながらの睡魔との格闘は辛かった。
物語を物語として組み立て切れない演出力のなさもさることながら、私を辟易とさせたのは福田麻由子ちゃんなるお嬢さんの、仮面のように固まった薄気味悪い作り笑顔と、舞台の上から観客に向かって呼びかけるような台詞まわし。
私はテレビドラマを見ないので知らなかったのだが、このお嬢さんはその世界ではなかなかの活躍ぶりだそうな。とは言っても、女優とはとても呼べない年端もいかない子供に全ての責任を負わせるのはいささか酷で、やはり彼女をオーディションで選び、劇団ひまわり仕様の芝居を好しとした制作者サイドと永田琴なる演出家の罪は大きい。
虚構としてのわざとらしさを包み隠してしまう周到さなくして、人の心を揺さぶる物語は紡げない。さらに、演者の本心までも引き出す繊細さなくして、少年少女のときめきなど描けるはずがない。
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余談だが、せっかくの声と音楽の映画なのに試写会場となったホールの音響が、映画上映にまったく向いておらず(たいていの多目的ホールはそうなのだが)嫌になるほど音声状態が悪かった。ただで観ておいて文句は言えないが、この手の映画はもう少し会場を選んだ方が印象が良くなると思う。やはり周到さと繊細さは大切です。
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