[コメント] ノーカントリー(2007/米)
人生の外部要因は操作出来ない。だが、その外部要因が人だとしたら、操作できるのではないかという幻想が生じる。そして、その幻想が打ち砕かれる時、残るのは諦観か恐怖である。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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怖い。ただただ、この一言である。シガー(ハビエル・バルデム)の風貌、アクシデントへの対処も含めた実務の遂行能力、行動規範、何を取っても常軌を逸している。しかし、そういうものだと思った瞬間、シガーに対しての恐怖は消える。ただ残るのは諦観であり、虚無感である。
本作のラストで一連のシガーの行為を目の当たりにしたベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、自分の信じているものが崩壊した事を理由に辞職を決意する。だが、叔父のエリス(バリー・コービン)は言い放つ。「いつの時代も、理解不能な犯罪は起こる。」その通りなのだ。そして、その背景を理解しようとして諦めてきているのである。
その事をドライに示した本作は、受け入れられるかどうかは別にして、やはり素晴らしいと思うのである。(2008.03.15 スガイシネプレックス札幌劇場)
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