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[コメント] ミスト(2007/米)

本筋には全く関係ないけれども、キングファンならあのポスターににやり!?
狸の尻尾

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







薔薇に塔、ガンスリンガーとくれば。「暗黒の塔」シリーズだよね? こういう不意打ちなら大歓迎なんだけど。

ラストは同じ不意打ちでも全く逆。原作読者としては、こんなのありかよ!ってくらいのバッドエンド。「衝撃のラスト」「原作とは違うオチ」ってことで、ラストが近づくにつれ薄々想像はつきつつも…本当に救われない終わり方でした。「霧」という小説の本来の味わいが、まさに雲散霧消。あまりの後味の悪さを払拭するために、小説を読み返すことにしたくらい。

でもこのラストって、キングのお墨付きなんですよね。「自分が書いてる時に思いつかなくて、残念だよ!」とまで言ったとか。うーん、キングがこのラストで書いたとしたら、それはそれで読んでみたかったかもって気はしますが…。「ペット・セマタリー」の救いのないラストを思い出します。

あと、監督の言葉で気になったのが「原作にあった最後の文章が私に連想させてくれたんだ、このエンディングをね。」ってのなんですけど。「もうひとつは希望(ホープ)だ」から、どうやったらこんなラストが連想できるんだっ。そこのところを検証する為にも、ますます小説を読み返したい気分。

ラストの賛否については。映画が悪いって訳じゃないけど、わたしはやっぱりかすかな希望を信じたい、原作派。監督という物語から一歩引いた客観的な立場であれば、観客に衝撃を与えたいという誘惑もあるんだろうなと思いつつ。そして、それこそが監督の狙ったところであるのはわかりつつ。一観客としては、ああいうやるせなさの残る結末は絶賛できませんでした…。

あの状況であれば自殺というのも自然な選択のひとつではあるだろうというのは、想像できます。これは「霧」のもうひとつの結末であり、些細な選択肢が狂えば有り得た未来。だけれども、キングの描く愛情に溢れた「父親と息子」像が好きな自分には、そこに到るまでの描写がいまひとつ物足りないと感じられたせいもあり、このラストを肯定的に見ることは出来ませんでした。演出上しょうがないとしても、あの後すぐに霧が晴れて軍隊が…ってのは悪趣味極まりない。

ボンネットの上の銃を拾いますか?

>はい >いいえ

ゲームだったら、ここが原作ラストか映画ラストへの運命の分かれ道になるんでしょうかね?

(評価:★4)

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