・・・ただ、興行は見込めないわ。悲しい事に。こういう作品は単館でひっそりと品よく上映するべきだったと思うなぁ。

しかし素晴らしい。『按摩と女』はやはり保存状態が良いとは言えず、画面も不鮮明だったり音も悪かったり。でもそういうちょっとむぐぐ…となってしまったところをカバーしきってもまだプラスが残るくらい。正直、音に関して言えばやりすぎだと思った。主張しすぎの感じが煩いんだよね。でも台詞がちゃんと聞き取れるって事がこんなにも精神衛生上よろしいって事に驚いた。普段私は古い邦画を見る時はヘッドフォンをして鑑賞していて、耳をそばだてて神経を研ぎ澄まして映画を観るってのも良いものですが、ゆったりしたリラックス状態でこんな上質な映画を観る事が出来るってのも本当素晴らしい事だと思いました。

それから草なぎ剛は本当にいい役者だと思う。胸を張って役者だと言えるタレントはあまりいないけど、剛は胸を張っていいと私は思う。予告編などではめくらっぷりがちょっと気持ち悪いくらいでやりすぎやりすぎ！って思ってたけど、全編通して観てみると全くそんな事気にならないし、本当徳大寺伸さんに似ている。マッサージのシーンも非常に上手く、はぁ〜気持ち良さそう〜とうっとりしてしまいました。逆に加瀬亮があまり良くなかった。裏返ってばかりの声が耳障りだったなぁ。

それから、あの温泉場を見事再現したセットも素晴らしい。鯨屋の看板もオリジナル通りだったね。

一つだけ難癖つけるとするならば、ラストがよろしくない。オリジナルのコメディっぽさは影を潜め、サブタイトルに相応しい恋愛面が強調されている。またそれを仰々しい音楽が盛り立てる。感情を音で表現するのは手段の一つとして用いても良いとは思うけど、そこは観客の心に任せてくれてもいいんじゃないかな？とも思います。無理に気持ちを盛り上げさせないで欲しい。

とは言え、本当に良い作品だと私は思います（何度も言いすぎですか？）。観る前までは完全リメイクって意味あんのかな？と思っていた私ですが、本当に素晴らしかった。今の邦画界ではこれくらいのオリジナルを作る事は不可能なのか？それとも興行的にこういう作品を作っても意味ないから作れないのか？こんな良質な邦画をこれから1本でもいいから作って欲しい。心底そう思いました。

剛、こんな素敵な作品に携わる事が出来て本当に良かったね！全然売れなかったって色々言われたけど、私は今までのジャニ映画で一番好きだ！

最後に、完全リメイクという事ですが、しょっぱなからカメラで太陽撮ってたね。コラコラ。

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08.12.12　記