[コメント] 崖の上のポニョ(2008/日)
ここまで徹底的に脱抑制的視点で描かれた映画を僕は知らない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
オトナがどんなに深刻な顔して天気予報を見つめていても、嵐の前にはワクワクが止まらず、海が荒れればその波に巨大な化け物の顔を見つけてドキドキ。雨が降ればわざわざ外に飛び出し、荒っぽい運転は絶叫マシンだ楽しんじゃえ。床下浸水なんかしようものなら望外の喜び。原っぱには巨大トカゲやら毒虫が蠢き、海の中には謎の巨大生物の影が泳ぐ。緊急避難もなにやら楽しいアトラクションで、トンネルだって魑魅魍魎の棲む洞窟に見えるかもしれない。僕たちにとっては平凡な日々が子どもにとっては大冒険の連続だ。そうしてみるとこの映画は子どもにとっては「日常」そのものと言えるように思う。登場人物のなかで、当の子どもが一番大人だってこともそういうことなんだろう。この脱抑制的な視点は子どもの視点のもつ一面だと言える。それも、現在の標準で言えば3歳くらいかな。
でも子どものために作ったって言うのなら「子どもの視点に立つ」っていうアプローチはむしろ余計なお世話のような気がする。それでなくても冒険の日々なんだから。そしておじさんの僕にとっては、この映画は良くできた子ども眼鏡。海が溢れかえるシークエンスなんてもうびっくりするくらい興奮する映画的体験なのでした。
・・・子ども眼鏡を外して敢えてもう一点、幼稚園と地続きの老人施設、すごく良いと思うんだけど、この映画ではただの舞台装置のように感じたのは残念でした。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (4 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。