物語の全貌がよく分からないまま異様な世界に連れて行かれるような感覚は、やはり前作『ハウル』と通ずるものがある。僕は最近の宮崎作品のこういう傾向を断固支持したい。何故かというと、単純に面白いと思うからである。

個人的には、いかにも気の強そうなお母さんのキャラクターも気に入ってしまった。船乗りの父親とモールス信号で会話するシーンはとても面白い。「BAKA BAKA BAKA・・・」。

それにしても、あのエンドクレジットの簡潔さには今まで味わったことのない感動を覚えたのだ。大橋のぞみちゃんと一緒に主題歌を歌っている「藤岡藤巻」の2人は、70年代にきわどいコミックソング・放送禁止ソングを連発した伝説のバンド「まりちゃんズ」の元メンバーである。これをきっかけに「まりちゃんズ」が再評価されたりしたら、それは非常に愉快なことだと思うのだが。