[コメント] イントゥ・ザ・ワイルド(2007/米)
一見、クリスは絶望から希望へと向かっているように見えて、実は精神的に常に一人であるという点で、自身も気づかぬうちにより深い絶望へと突き進んでいる。無自覚に大自然を希求するという行為は死への逃避であり、それに気づかない鈍感こそが人間のエゴなのだ。
かつてのアメリカンニューシネマに痛々しくも充満していた「希望」と「絶望」を、軽々と超越した諦観ともとれる達観を感じる。これは、今というアメリカ、もしくはショーン・ペン監督の気分が生むニヒリズムのせいなのだろうか。あるいは、この作品に潜む無常観のような東洋的精神性のせいかもしれない。
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