[コメント] ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン(2007/仏)
職業人と母親を不器用すぎるほど懸命にこなすジュリエット・ピノシュの苛立ちぶりが、見ていて何とも愛らしい。どこか明るい日常の喧騒ぶりと、声優としての自由闊達さがいつしか重なり不思議な感動を生む。そんな彼女と一線をかくす、ソンとシモンの日常。
母親スザンヌの躍動的な生活と、ソンとシモンが淡々と紡ぐ静的な幸福感。カメラの長回しによる室内シーンに、次々と持ち込まれる雑多な出来とが醸す生活感。乗り物やカフェのガラスに、鏡のように映しこまれる人物や風景の危うい美しさ。これこそが重層性の物語であり、まさしく日常の物語である。そして、そのどこにも属さない「赤い風船」。
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