これはキョーレツに舞台版を見たくなる映画です。

メリル・ストリープ本人は、舞台版を見に行って大感動して、プライベートでファン・レターを書いたらしい。

それがわかる！　って感じのストーリーと歌とダンスだな。

ミュージカルにおける成功の決め手の１つに、観客がすぐに口ずさめるほどのキャッチーな歌の存在があるのですが、全曲すぐ歌えるアバの曲ってところが、これが卑怯なほどに成功している。（これはもちろん世代にもよるけれど、少なくとも私には。）

ただ、たぶん舞台版では気にならないだろう、歌とストーリーのつなぎが決定的に気になる。映画にしかないギリシャの絵になる美しい風景で補っても、まだ足りない。舞台ならどんな唐突な歌でも大丈夫だけど、映画はそうはいかない。そういくとしたらもっと工夫が必要。

メリルと旧友３人は、一緒にクラブのステージに立ったコーラスガールだったはずだが、そうは見えない。もっともこの設定は映画では説明されてなかった気がするが。（たぶんメリルたちがそうは見えないから？）でも、そこの所が、この映画がアバまみれである理由の勘所なわけだから、それがないのもきつい。この３人が歌うアバが、ヒロインが若さを取り戻す背景になるわけでしょ？　そのわりに３人の歌とダンスのキレがいまいち。

ピアース・ブロスナンの下手な歌には愛嬌がたっぷりだけど、でも、ヘタウマ感でごまかすんじゃなく、歌もダンスもガンガンキレまくってほしい作品でした。というわけで上の結論。