コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ファミリー・プロット(1976/米)

遺作だからどうこうというのは、邪道な意見なのかもしれないけど、それでもコレは思い入れなしに観ることができません・・・。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







技術的な面で進歩を続ける映画というメディアの中で、それでもなおヒッチが「写実」という名のリアリティにはほとんど関心を寄せなかったことは、女のカツラや秘密の小部屋ひとつとってもよく分かる。結局は現実には成り代われない「尤もらしさ」という曖昧なスタンスよりも、どれだけ「嘘」を脳裏に刻み込むか。いわゆる外面的なヒッチコックらしさというのがそこまで濃密ではない代わりに、彼にとって何が大事だったかがより浮き彫りになっている気もする(あくまで個人的な印象だけど)。

インチキ霊媒師にニセモノ弁護士。映画という虚構(ホラ話)の中で、ヒッチコックは数々のタネも仕掛けもある実に魅力的な手品を披露し続けてきた。そして、全てを通してのラストカットが、バーバラ・ハリスのあの観客が共犯者であるかのようなウィンク。ヒッチコックという人は、稀にみる天才的な「いたずらっ子」だったのではないか、と感慨深く思う。

(2007/1/11)

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (5 人)太陽と戦慄 緑雨[*] 3819695[*] モノリス砥石[*] ゑぎ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。