[コメント] バーン・アフター・リーディング(2008/米=英=仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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オスカーを受賞した前作『ノーカントリー』も傑作だったけど、 あの手の重厚な映画ばっかり撮っていると疲れちゃうのかな…。
この映画、CIAネタを絡めて社会派ブラックコメディーのような体裁にも見えるが、投げやりと言ってもいいラストシーンを見るに「実は何にも言っていない」という実に痛快なコメディ。あまりに観終わって何も得るものがないから、それが可笑しくて可笑しくて…。そこに畳み掛けるように流れてくるエンディングの「CIAマーン♪」という曲は一体何なんだろう。
それにしても、やはり役者陣のコミカルな演技がお見事です。ジョン・マルコビッチとブラッド・ピットが特に面白かった。
マルコビッチは真剣な顔で話しているだけでもコメディに馴染むのは、やはり『マルコビッチの穴』で茶化されたイメージが大きいからか。冒頭のシーンでマルコビッチが登場しただけで、この映画に漂うおかしな雰囲気が薄々伝わってきたほどだ。
ブラッド・ピットは、あの役柄は物語への絶妙なスパイス。知性的っぽいおバカが多い中、本当の筋肉バカという…。そんな彼が「20年間で発射したことない」と自慢げに語るジョージ・クルーニーに撃たれて殺されてしまうのが、あまりに可哀想であまりに面白すぎた。映画の中で一番の善人だったのに、こうもアッサリやるとは。そのあたりの畳み掛け具合、やはりコーエン兄弟はピカイチだ。
そのブラッド・ピットが殺されるシーン。静けさの中でハビエル・バルデムが迫ってくる『ノーカントリー』の恐怖シーンのセルフパロディにも思え、なおさら面白かったのだ。
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