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[コメント] ウォッチメン(2009/米)

予告篇で抱いた期待は満足されなかった。☆3.6点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ウォッチメンという謎のヒーロー集団が歴史の(主に米国の)陰に暗躍し、陰から人々(主に米国民)を守ってきた。しかし、いま何者かによってこの集団のメンバーがひとり、またひとりと暗殺されている。一体何が…?

…という物語かと思ったのだが、違った。え? その通りじゃないか、って? いやいやいや。まず、予告篇で流されたJ.F.ケネディ暗殺やチェ=ゲバラが、冒頭の導入部でちゃっちゃと流されて(しかも「流している」癖に長い)、本筋と全く関係がない事にいきなり落胆させられた。ウォッチメンが如何に歴史に介入してきたのか、それがクリーンにしろダーティにしろ、そこに期待したひとは俺だけではないと思う。

そして実際には、ウォッチメンに敵対する集団の勃興によるメンバー暗殺ではなかった。寧ろコメディアンの暗殺はただ単にオジマンディアスによる「粛正」だろう。要はMr.マンハッタンの利用なのであって、他のメンバーに殆ど意味がないというのは如何なものか。(明かしてしまえば、ウォッチメンの暗殺は米国政府によるものか、内部の裏切りだと俺は予想していた。当たっていたと言えばそうなるが…)途中で挿入されるダンとローレルのヒーロー(再開)振りなどは、色々な意味付けをしているのだろうが、本筋からは蛇足なのは明らかだ。

ビジュアルはまぁ期待を満たしていたとも言えるが「政治と絡んだダークな展開が米国内では好評」との情報は、「なんだかなぁ」という感じだった。確かに政治(ニクソンキッシンジャー博士のソックリさんを政治と言うならば)と絡んではいるものの、絡み方がいわば中学生レベルだ。世界規模でなくても『ダークナイト』の方が余程社会の実相に斬り込んでいる。Mr.マンハッタンが大魔神と化してベトナム戦に勝利する展開の落し前は観客が自分でつけなければならないのか?

唯一ロールシャハの造形とその悲劇には感心はしたが、それも冒頭では中核であったものがどんどん辺縁へ押し流されて行く感じで、その役割(の可能性)を充分に果たし切れていたとは思われない。

(評価:★3)

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