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[コメント] グラン・トリノ(2008/米)

朝鮮戦争の勲章で、ベトナム戦争のカタを付ける。これぞアメリカ爺の生きる道。
ロープブレーク

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画、あらすじがすべてだなあと。

朝鮮戦争で勲章もらったポーランド系アメリカ人の頑固爺さんが、モン族のアメリカ移民の小僧に男の生き方を教えて果てる話。

モン族というのは、ベトナム戦争〜インドシナ戦争でアメリカがさんざ利用して切り捨てた民族です。アメリカは山岳民族のモン族をゲリラ部隊に仕立て上げ、北ベトナムやラオス軍と闘わせたんですね。いわばアメリカ軍の楯で、ベトナム戦争で死んだのは、アメリカ人約5万8千人に対してモン族が約20万人と言われています。

この爺さんは、朝鮮戦争での忸怩たる思いを、ささやかなベトナム戦争への落とし前をつけて、アメリカンガイとして人生をまっとうした。そういう男の話を、トヨタ車に乗っていない日本の私は、ケジメって大切だよなとかいう、すっとぼけた視点で見ていたわけです(だってさ、隣に越してきたのがモン族じゃなかったら、この映画は成立していないわけで、人種差別とかは話の本質じゃないわけだし、クルド族はどう違うの?っていう現実も進行している)。ただまあ、自国の歴史を直視してエンターテインメントにし続けるクリント・イーストウッドは、半径5メートルくらいまでしか関心の及ばないただ頑固なだけのジジイとはやっぱり格が違う。どうせ頑固爺になるならこうあるべきなんでしょうね。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)DSCH[*] jollyjoker けにろん[*]

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