[コメント] GOEMON(2009/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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荒唐無稽はとりあえず容認。まあ、娯楽作だし。
上から目線みたいな書き方で恐縮だけど、相変わらずの問題はカントクだ。「あいつまた赤点なのかなあ。いや、少しはがんばってくれるだろう」という思いで、結果赤点召集しなくちゃいけない放課後の先生のような気分なのだけど、簡単に言ってしまえば「5年間何やってたんすか、あーた」なのです。正直、ちょんまげがいなーい、とか、ココハチュウゴクデスカ?とかはどうでもいい、冒頭の長崎の出島のような江戸とか要塞のような城を見ただけで「全部ウソの世界だもんね」と最初から納得づくで見ているのだし、それをベースにいかに我々をワクワクさせてくれるのかが勝負だからだ。受験生には見せちゃいけない「聞いたことある名前を全部入れてみましたー」的な相関図は面白いし、ここまでやってくれれば笑って済ませられるし。
ただ、出島も要塞も「それだけ」なんですよ。全体の9割5分を締めるCGがまるでキャシャーンから発展していないのだ。CGがCGとして真価を発揮するのは、映画の場合は三丁目の夕日のようにウソを真実として錯覚させてくれるときなのだと自分は思う。この作品の場合は、分かりにくい喩えですまないけど「10組で構成されているCG作成学校での5組でのトップだったのを業界全体でのトップと勘違いしてしまったボク」のレベルなのだ。見せられた映像は、Fallout3とかCODとかGOWとか昨今の「CGがすげーといわれているゲーム」に負けている。意気揚々とコンテストに参加、最優秀賞間違いなしと思い込んでいたのに結果は参加賞。でも、何故参加賞だったのか、本人には分からないんだろうなあ、というのは前作から5年のこの期間を考えればなんとなく想像が付く。
今回のこの採点はもう100%役者の頑張りだ。今まで自分の中では「江口洋介主演作にアタリなし」が勝手な通説だったのだけど、今回の江口はこれ以上ないくらいのはっちゃけぶり。まさに「やれば出来る」ことを示してくれた。大沢たかおは相変わらず「悪役やらねえよなあ」を維持し、終始カッコイイままがんばってくれる。中にはがんばりすぎちゃった奥田さんとか、最後まで見せ場らしい見せ場のなかったピロちゃんとかいるんですけどね。小日向さんとかあそこだけだし。つまらなかったか?と聞かれたら「結構オモシロカッタ」と答えたい。答えたい理由はすべて、見逃すにはちょっと惜しい役者陣の熱演がすべてなのだ。脚本も前回に比べると大分スッキリして緩急もなんとなくわかってきたみたい。
とりあえず食わず嫌いせずに見てもいいかと。結果、やっぱり口に合わなかった、と言われちゃう可能性も大だけど「でも各素材は意外とよかった」とは思ってもらえるはず。
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