[コメント] スター・トレック(2009/米)
シリーズのファンなら役者が揃うたびにヤラれるはず。スクリーンに映える映像と肉感的な演出も実にいい。でも・・・
テレビシリーズは映像的には今の技術に遙かに及ばない。宇宙を舞台にしながらも基本は狭い室内劇だ。しかし、作品はそれを不問にするパワーに満ちていた。それはこの作品の持つ高い精神性によるものだろう。映像は添え物で良かったのだ。このドラマの生まれた時代背景、社会の孕んだ矛盾をつまびらかにするために、つまり電波に載せるためにあえてエスエフの体裁をとる必要があった。暗黒の星雲や未知の惑星を背景に異形の宇宙人が跋扈する、そんな映像に対して目くじらを立てるような野暮はいくら当局でもできないということだ。だからこそ世代を越えて多くのファンが生まれた。NASAにも大勢のファンがおり、スペースシャトル初号機の名前も「エンタープライズ」だ。宇宙物理学者ホーキングもファンを自認し、ドラマにも特別出演したことは有名な話。
今回の作品は映像も演出も極めて映画的な仕上がりとなっている。シリーズを下敷きにしながらもしっかりとしたオリジナリティを見せてもらったと思う。しかしながら不満が残ったことも事実だ。カークには荒削りではあっても、クルーが納得するような原石の輝きを見せて欲しかったし、ドラマとしても希薄であることは否めない。シリーズを継承しつつ再構築する困難、人物紹介にとられる時間的制約もあるだろう。しかし・・・役者は揃った。さあ、新しい舞台の幕をあけよう。今後に期待している。
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