[コメント] レスラー(2008/米=仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
マリサ・トメイの老いぼれストリッパーが若い客から敬遠されるなんて俺にとってはドストライクなドラマのはずなんですが、俺の目からすると、この映画の彼女はまだまだ普通においしそうで、嫌がる奴らが何を言ってるのか意味がわからず、でも、これってべつに俺が熟女趣味だというわけではなく、マリサ・トメイが好きすぎるからなわけでもなく、この映画は一事が万事この程度だと思えてしまった。
彼女やロークは確かに熱演だと思うけど、キャラが中途半端だという感がどうしてもぬぐえなかった。どうにも拭えぬ業というか、“この人は、ほんとうにもう、どうしようもないんだ”という感じが不足しているのだ。
たとえば、ランディが娘との約束をすっぽかすくだりなんかがまさにそうで、駄目さ加減がぜんぜん足りていない。なぜなら、彼は「単に忘れていただけ」で、忘れていただけなら、観ているこっちとしては、アラームでもかけとけやボケ、で終ってしまう。じゃあ、どうだったら良かった(最悪に仕立てられた)のかと言うと、答えは簡単で「ちゃんと憶えてたけど、自分のプロレスラーとしての気分や欲求を優先した挙句、行けずじまいになっちゃった」という話にすれば良かったのだ。
ちまいことのように思えるかもしれませんが、俺は、人の業とはそういうものだと思うと同時に、業とは他人の嫌悪感を誘うものだと思っています。
この映画は、一見手持ちカメラなお寒い画質で苦いところもやっちゃいまっせオーラを発しながら、その実、視聴者の即物的な嫌悪感をこわがって巧みに回避した八百長話だと思えてしまいました。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (5 人) | [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。