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[コメント] ディア・ドクター(2009/日)

全ての登場人物の感情の変遷が自然。西川美和監督の人物造形力には恐れ入る。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







視線に温度や湿度を感じない映画は珍しい。業を掘り出すこともないし、美化もされない。ただただ純粋に人間を描く手法は今回も素晴らしい。

嘘が露見したあとの周りの人々の掌返しぶりと、伊野(笑福亭鶴瓶)を追いかけた刑事(松重豊)が抱く感情の落差の表現がこの事件の本質を描いていると思う。大竹(余貴美子)が伊野を指して「先生」と言った時はそれを訂正した彼が、りつ子(井川遥)が「先生」と言った時はその表現については言及しなかった。また、ラストシーンの笑顔は『ゆれる』の時と違い、ほっと安心する笑顔であった。それが全てである。

最後に本筋とは関係ないが、本作の鑑賞中

http://www.1101.com/deardoctors/2009-04-14.html

この記事の中にあるバグダッド大学医学部長の話を思い浮かべた。医療というもののあり方については考えさせられる話ではある。

(2009.06.28 tohoシネマズ川崎)

(評価:★5)

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