コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 第十七捕虜収容所(1953/米)

収容所ものは「暗く」撮るばかりが能じゃない。ビリー=ワイルダーが作ると、どんな題材でもちゃんと“らしく”なる事を見事に示してくれた。やっぱ好きだわ、この監督。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 さすがワイルダーと言うべきか。暗くなりがちな収容所での出来事を見事に楽しく描いてくれている。似たような題材を扱ったはずの近年公開された『ジャスティス』と較べると、どれ程完成度が高いか知れる。

 基本的に戦場から離れ、本当に収容所だけを描いているため、派手さは無いけど、こんな状況にあっても明るく生きているアメリカ人達。複雑に絡み合った人間関係。その心理状態が上手く作られているのが分かる。戦争を扱ったものとしては異色作に入るんだろうけど、完成度がこれだけ高いなら十分納得。最後の瞬間に歓声を上げたくなるのもワイルダーならでは。

 この作品のキャラクターは濃い人間が多い。ホールデン演ずるニヒリスティックなセフトンだけじゃなく、感情がすぐに噴出するアニマルとか、彼の相棒で悪知恵は働く人の良い小悪党っぽいハリーとか。アニマルの表情、あれが又良いんだ。

 何となく舞台劇みたい。と思ってたら、元ネタは本当に舞台劇だった。成る程ねえ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (5 人)りかちゅ[*] ナッシュ13[*] 水那岐[*] kazby[*] らーふる当番

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。