[コメント] 南極料理人(2009/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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それはもちろんオチを楽しむために読み進めていくんだけど、むしろそれを通じて作品に登場するキャラクター自体の魅力や、彼ら彼女らのやりとりから生まれるその作品に流れる独特の空気感、さらに膨大な生活の断片を描くからこそできる生活描写のディテールを味わっているのだと思う。そういう4コママンガ作品を楽しんでる感覚に近かったと思う。料理は一本の4コマ作品と一本の4コマ作品のブリッジ役を果たしていたようだった。
ゆる〜くやっている感じでいて、何でもより面白い方向にならないかを常に考え切磋琢磨している男たち。ポスターの標語ひとつとっても一言余計なサービスを書き添えることに余念がないし、献立がおにぎりだとすると自転車で触れ回らなきゃと思いつくし、シロップでラインを引けば、これはもう言われなくてもスプーンを持ってくるやつがいる。炎に包まれた肉片を振りかざして向かってくる男がいれば、安全な車内からわざわざ外に出て逃げ出す。バターやラーメンを失敬するのだって、心の中では事件が起きることをどこかで計算しているかも知れない。これらは、不機嫌と退屈が持ち込まれないよう常に警戒を怠らない男たちの芸なのだ。そういう生活描写を見られるだけで私は結構満足でした。
しかし堺雅人の微笑みは麻薬だなあ。ついつい使いたくなっちゃう気持ちもわかりますよ、監督。
基地を去る時、堺雅人が厨房の隅で、部屋の全体をカメラのファインダーにおさめるかのように身をすぼめて眺めるシーンが好き。
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