[コメント] マイケル・ジャクソン THIS IS IT(2009/米)
2009.11.9 梅田ブルクで昼間に鑑賞。なぜかジジババの多い日だった。
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皮肉にも、マイケルの急死があったればこそ、我々はこの未完のドキュメント "This is it" を目にすることが出来た。だがもし彼が存命だったならば、完成したロンドン公演のクオリティたるや空前絶後であったろうと想像される。
マイケルのダンステクニックの頂点は、恐らく『ムーンウォーカー』を発表した1988年頃だったと思われる。それ以前の「スリラー」や「ビート・イット」のショート・フィルムにおいて見せたものすごいダンスパフォーマンスの数々は他者の追随をゆるさないものがあったのだが、『ムーンウォーカー』に収録されている「スムース・クリミナル」のパートは、まさに「あまりにうますぎて、どのくらいうまいんだかわからない」レベルまで達していた。
今回のドキュメンタリーを見ていると、やはり寄る年波には勝てず、過去の名曲のステップもかなり省略している部分が見られたし、リハーサルと言うこともあったのだろうが、緩慢な動作も随所に見られ、筋力の衰えというものを感じさせられた。だが、それは人間(しかも50才!)としては当然のことであり、そしてまた二時間くらいのライブの中であれだけの踊りを連発するつもりだったのかと驚嘆させられる。
ロンドン公演のために用意されていたアイデアや別撮りフィルムが一部公開されていたが、どれもこれもすごいでき上がりで、繰り返しでしつこいようだが、もしもロンドン公演が実現していたら、伝説的な仕上がりだっただろうなと思わせるすごさがあった。
集められたバックダンサーにミュージシャンその他大勢のスタッフは、プロ意識とはこういうものかと思わされる立ち居振る舞いであり、彼ら彼女らに焦点を当てても見所は尽きず、きっと何度見ても新たな発見があるだろうなと思わされた。特にギターにベースにボーカルにダンスの面々のすごいこと!それにあのキーボードプレイヤー!みんなホントにプロだなと感じされられた。
それにしても手術と処方薬のやり過ぎで恐らくぼろぼろになっているだろうと勝手に思っていた50才のマイケルが見せた・魅せた、踊りと、歌声のすごさには驚くほかなく、天性のパフォーマーの神髄を見せられた気がする。
フィルムに写っているマイケルは常に偉大であり、謙虚な人物である。ただこれは編集次第でどうにでもなるし、リハーサル風景で来ていた衣装は4種類くらいだったので、リハーサルへの参加率は余り高くないことが伺われ、本当にどの程度公演の中身(特にマイケルのパート)が完成していたのかは、スクリーンのこちら側で見ている我々にはわからないグレーな部分もあるとは感じたのだが、そんなことは些細なことだ。
全曲知っている曲ばかりであり、実はもっと相の手を入れたり一緒に歌ったりして大騒ぎしながら見たかったのだが、水を打ったように静かな客席ではそれもならずさみしかった。日本人のおとなしさはすばらしい美徳ではあるが、ときに残念におもうこともある。
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