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[コメント] カールじいさんの空飛ぶ家(2009/米)

老人は風船おじさんの夢を見たか。ていうか、テレビを見たか。
林田乃丞

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 あらら、自殺じゃないか。愛する妻を失い、思い出の家に住むこともできなくなった老人の、これは自殺じゃないかと。

 地上げ屋さんは2倍の金額であの土地を買うという。それを拒否する気持ちはわかるけど、いよいよ出なければいけなくなったなら、そのお金でバスと飛行機を乗り継いで行けばいいじゃないかと思うんです。老人という設定からして無理が利くキャラクターではないし、そもそも風船で南アメリカまで飛ぶなんて、それはもう冒険ではないですよ。妄言ですよ。無謀なものを実現させることとファンタジーとは違うと思うんですよ。

 で、いざ飛んでみたら子どもが乗っていた。この子どもに対するカールじいさんの反応が、すごく怖かった。慌てたり、落ちないように手を伸ばしたりしないんですよ、この人。クソガキが乗ってるのが悪い、俺には関係ない、って思ってるんです。それはないでしょ、とりあえず危ないから家のなかに入れるでしょ普通。ここで子どもをすぐ助けようとしない、家をすぐ下ろそうとしないカールじいさん、やっぱり神経が参りきって自殺しようとしてる人としか思えないんです。このシーンで決定的に、映画の主人公が信用できなくなってしまった。

 だから、これから書くことはすごく的外れかもしれないです。でも、そんなふうにしか見えなかったので、書いておくことにします。

 積乱雲に巻き込まれて、この2人は死んだと思うんです。そこから先はすべてカールが死に際に見た夢だろうと。

 気がついたら目的地にいる。だけど、自分は冒険家だから、そんな簡単にたどりつきたくない、少しは自分の足で歩いて苦労したい。だから、少し離れた場所に家を降ろす。このあたりからして、カール的にベストなんですよね。しかも犬はしゃべるし、子どものころのヒーローは現れるし、自分が冒険家としてそのヒーローを越えてゆくこともできた。このあたりも、何もかもがカールにとって最高の展開。しかも、冒頭では自宅の階段さえ満足に下りられなかったカールが飛行船の外ハシゴを登ってる。走る、跳ぶ。これ、『ポニョ』で車椅子の婆さんがいきなり歩き出したのと、まったく同じことが起こってるんです。気持ち悪いんです。キャラクターに設定された約束事を反故にすることとファンタジーとは違うと思うんです。

 そしてたぶん50年くらい前の飛行船に乗って、カールは帰ってくる。ヒーローを殺して、憧れの乗り物まで奪い取った。さらには、あの嫁と結婚したおかげで生涯恵まれなかった“息子”まで手に入れた。そんなハッピーエンド。

 なんだそれ、ふざけんなよって思いますよ。

 ピクサーがこの映画で何を語りたかったのか、本当にわからない。本当にわからないけど、子どもが見るものについては、とりあえず「自殺はよくないよね」と言ったほうがいいんじゃないかと思うので★2にします。画面はすごかったです。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ホッチkiss[*] G31[*] IN4MATION[*] のこのこ

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