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[コメント] バッド・ルーテナント(2009/米)

ここでヴェルナー・ヘルツォークが演出するニコラス・ケイジの演技は圧倒的で、ついにマンガの域に達したと言いたい。これは、かのクリント・イーストウッドでもなし得なかった快挙だろう。
ぐるぐる

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巷での評価は分かれているようだけど、ヴェルナー・ヘルツォークXニコラス・ケイジという組み合わせに期待するような人であれば、その期待は裏切られることは無い。だって、イグアナが歌い、死者がブレークダンスを踊るような映画なんだし。

確かに、これがもし映画でなくてサッカーの試合か何かだったら、華麗なパス回しも、大胆なサイドチェンジも、疾風のようなカウンターも、果敢なドリブル突破も、精密なセットプレーも、豪快なシュートも、そうした見せ場がひとつも無く、意味不明のプレーばかりのだらだらした展開なのに、ヘボなオウンゴールで2対0で勝っちゃった、みたいな感じで意味ワカランのかもしれないけど、まあ、映画にスポーツ的な興奮を求めるような人なら、そもそもヴェルナー・ヘルツォークに期待はしないだろう。

ハリケーン・カトリーナ後のニュー・オーリンズという、終末的な邪悪な狂気を孕んだ空気に包まれて、リアルでありながらシュール、シリアスでありながらナンセンス、ハードでありながら脱力系という、ヴェルナー・ヘルツォークXニコラス・ケイジという組み合わせならではの、理性を超えた「ワン・アンド・オンリー」な傑作だと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)DSCH[*] けにろん[*] 3819695[*] ぽんしゅう[*]

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