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[コメント] 時をかける少女(2010/日)

当たり芝居の四番煎じ、仲里依紗の集客力も兼ねてリベンジを狙った本作だが、見事にSFとしても、青春ものとしても大外れの三流作と成り果ててしまった。新しいエッセンスとして加えられたものは、ただの七十年代ノスタルジアの発露にしか過ぎない。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







仲のファンならばアイドル映画として許容できるのかもしれないが、はっきりと悪い意味だけで21世紀少女である彼女の個性の発露が、自分には鬱陶しくてしょうがなかった。実際彼女が500円玉やケイタイを見せびらかさずとも、彼女が未来人であることは判る。あんなだらしない喋り方をする少女は70年代ならラリ公扱いだ。

そして彼女の恋物語も、およそ原作の切なさに背伸びしても追いつかない陳腐で説得力を持たないシロモノだった(初めから死ぬことで未来の情報を口止めできると判っている男を悲恋の相手とし、最後はそんな男を死ぬほど愛したことも忘れて爽やかに笑う仲のアップで締めくくる、この監督の不感症的な白痴ロマンチシズムには反吐が出そうになった。こういう話を平然と泣かせに使う感覚には、難病+純愛ドラマで片方を殺すことで泣かせのカタルシスを売り物にして憚らない、現代の非常識監督たちの思考に通底するものがあるだろう)。そしてこれは致命的なことだが、アニメ版ですら新しい解釈を附随させたSF要素が、全く原作の延長線上から羽ばたかず、SFとしての価値はゼロに等しい。筒井作品を原作と名乗る資格はこの時点を持って全く消え失せる。後日談とすら名乗って欲しくない体たらくだ。

唯一評価できるのは、少女時代の和子を演じた女優にNHKドラマ『タイムトラベラー』のヒロインを髣髴とさせる少女を選んだことぐらいか。彼女は清楚で原作のイメージを崩すことはなかった。ラノベの悪影響か、ヒロインに現代の萌え属性である「ドジっ娘」の演技をさせたのは全く度し難い青さだ。そういう属性を好む中高生は、残念ながら筒井康隆のネームバリューなんて屁とも思っていない。指向性の誤りとしか考えられなかった。

(評価:★1)

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