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[コメント] 第9地区(2009/米=ニュージーランド)

バーホーベンの後継者かなと思ったのだけど、笑いは殆ど無し。ただ怒りは画面に解き放たれている。いろんな正義を表現したいんだろう。でも正義こそ怖いんだよ。悪が怖くないって言ってるんじゃないけどさ。
t3b

**ネタバレ注意**
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ジンバブエからの移民に対する外国人嫌悪や、アパルトヘイトを表現したかったっていうけど、それを白人がやるとどういう意味になるかっていうことを考えぬいたのかっていう感じはしない。お題目としての正義は勿論表現されている。ただ逆側から観るとどう観える可能性があるかを考えるのが表現の深みで、それをどう昇華させたかが傑作まで到達する条件でもあると思う。そういう意味で正義と悪を笑い飛ばしたバーホーベンには及ばない。バーホーベンは右と左の正義が両方嫌いというのが判るけど。この映画は左側とその延長線にある過激思想が好きな人の正義のために使われる危険性がある。シーシェパードみたいなやつに。

SFとしての完成度は高いけど、ここまでリスク有る政治的な内容を表現したのに考えぬいてないのは問題あると思う。ただ未知の領域に切り込んだのは間違いなく、それは絶対に評価すべきなのでこの点にします。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)DSCH[*] ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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