[コメント] グリーン・ゾーン(2010/米)
撮影地モロッコをバグダッドに変貌させたプロダクションに感心する。緊迫状況を持続させた中盤まではいいが、人物の思惑が交錯する後半は単純すぎてつまらない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
序盤の大量破壊兵器捜索ミッションにはかなり期待を持った。マット・デイモンの指導力も気持ちがいい。ハリド・アブダラ(フレディー)が登場する二度目の捜索で、職権を大きく逸脱するスタンドプレイがあるが、ここが一番の見せ場、かつ物語がリアリズムベースからヒーローフィクションへと切り替わるポイントだ。
大量破壊兵器は存在するか否か、その謎の究明がデイモンの動機付けというのは弱い。ジャーナリストでもない一兵卒が国防総省の隠ぺい工作を暴こうと思うものだろうか。
デイモンのキャラクターを上滑りさせないためには、例えば空振りに終わった捜索ミッションで部下を無駄死にさせたといった類の伏線が欲しい。国防総省グレッグ・キニア、CIAブレンダン・グリーソン、ウォールストリート・ジャーナルのエイミー・ライアン、それぞれの役どころが単純に色分けされているのも白ける。葛藤を抱える唯一の人物といっていいアブダラも、最後には使い捨ての扱いを受けてしまう。
『ハート・ロッカー』には不満もあるが、制作費1100万ドルで仕上げたのは驚嘆に値する。デイモンのギャラだけでそのくらいかかるわけだが、それにしてもこれで総制作費が1億ドルというのも考えてみれば凄い話だ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。