[コメント] インセプション(2010/米)
非論理的なことを考え抜く能力って、凄いなァと感心した。
見てる最中、このシーンは現実の場面、このシーンは夢の場面と、常に区別して(もしくは区別しようとして)見ている自分がいたことに、見終えてから気づきました。しかもこれを意識してではなく、ごく自然な心の動きとして行っている。だから、夢のシーンにしか出てこないマリオン・コティヤールは、この映画の出演俳優としては括弧つきの存在というか、影の出演者みたいに意識している不思議な感覚があります。人間てのは、夢と現実を区別する/したがる/してしまう動物なんですね。
したがって、この映画で描かれる<着想の植え付け>という概念は、実際には成立しないような気がしました。現実の世界でその気にさせられない人を、夢の中だからそうできるとするのは、無理があるのではないか? 少なくとも、他者の意識が自分の夢の中に入り込むことがあると知っているこの映画の<現実>に於いては。
論理的には成立しないことを考え抜く力というか、物事を論理的にではなく考える能力って凄いなァと思いました。
映像の迫力が凄かったです。CGというものもずいぶん見慣れてしまって、ちょっとやそっとじゃ感心しなくなって久しいけれど、本作はなかなか見応えがありました。緻密なデザイン力、そしてそれの元となる構想力、さらにそれを造形していく執念が優れているのだと思いました。
80/100(10/09/24記)
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