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[コメント] ノルウェイの森(2010/日)

安保闘争時代の色彩がこんなに綺麗だなんて!
torinoshield

同じ監督で前にも書いたが時代、時代には色がある。1970年前後は60年代文化の帰結がピークになった辺りでつまりは保守本流のアンチテーゼが頂点に達した時期でもある。だからあの時代の先端部を生きていた人達の映像は色彩バランスが非常に尖っていた。

しかしながらこの映画に出てくるメインの人達はそういう時代の流れとは違うスタンスだ。それが結果としてあの映像美とマッチする事になっている。70年前後というと猫も杓子も尖った映像を作ろうと躍起になっていたわけで気合が空回りするくらいがちょうど良かった時だ。

そんな時代を舞台に王道の男女三角関係、王道の動画(というより静止画)による演出、凝縮したセリフにこめた意味などなど非常に映画の本質に近い出来になっている。原作がもしほぼ同じ時代に出来ていたとしてあの時代の新進気鋭の若手監督がやったら、などと想像するにさぞかしギラギラしたノルウェイの森になっただろう。

そんな事を考えてみれば菊地凛子は1970年にピークだった女優の様な演技をしたわけで彼女だけがむしろ正確にあの時代のスタンスで演じていた気がするしそれがちょっとしたズレを感じさせる要因にもなっている。もっと儚げで俺が守らなきゃ死んじゃう、くらいの演技をしなければ何故に主人公が必死になるのかの拘りが見えない。

ところで水原希子のまあなんと可愛いこと。超がつく不思議ちゃんキャラだったがあんだけ可愛けりゃぎりセーフって辺りだろうか。俺はアウトだと思うんだが。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)Orpheus りかちゅ[*] chokobo[*] けにろん[*]

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