[コメント] ソーシャル・ネットワーク(2010/米)
物凄い疾走感。中だるみ一切なし。フィンチャーってこんなに手際のよい軽業師だったっけ?理が情を駆逐する普遍的な無常感を軽快なリズムに乗せる語り口の鮮やかさ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭の会話の噛み合わなさ具合からして最高に可笑しく、マーク・ザッカーバーグというキャラクタの人間性が途端に起ち上がる。ジェシー・アイゼンバーグ演じるこの主人公の造形が絶妙。ヴィジュアルから立ち居振る舞い、コミュニケーションの取り方まで完璧。
本当のことを言う人間は友人を失うという真理。SNSなどという今時な素材を扱っているが、古今東西あらゆるイノヴェーターが直面してきた葛藤だろう。その意味で普遍的な物語である。一方で、理に徹する苦さも表現される。あれだけ正論で突き進む主人公にしても、やはり彼女は恋しいし、親友を無くすのは嬉しかろうはずはないし、伝統あるクラブのメンバーには本音ではなりたいのだ。
示談の場面でアイゼンバーグがノートをめくると落書きが見えたり、車を降りたら本格的にパジャマ姿だったり、ビル・ゲイツの件りだったり、さりげない笑いの盛り込ませ方のセンスだとか。ジャスティン・ティンバーレイクなんていう如何がわしくも軽薄なキャラクタで不穏な空気を漂わせたりとか。弁護士2年目の彼女に鋭いことを言わせたりだとか。フィンチャーってこんなに軽妙な采配ができる演出家だったのね。進行形に見えた展開が、実は示談交渉の場での回想であることが明らかになる遷移も美しい。
双子マッチョとインド系腰巾着はずいぶんと気の毒な描かれようだけど、彼らも実在の人物のはず。それこそ訴えられたりしないのだろうか?
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