[コメント] SOMEWHERE(2010/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
退屈と孤独と空虚を描く作家=ソフィア・コッポラ。 固定カメラと手持ちカメラで、やりすぎずくどすぎず、自然体で切り取っていく「退屈と孤独と空虚」は、庶民感覚じゃダメなのさ。 だって、貧乏暇なしって言うじゃん。
しかし、セレブだからという理由だけでヘリコプターで娘を送り届けるわけではない、と思うのです。 あれは、自分の車で送り届けちゃいけないんです。いやもう、あのフェラーリは目的地に着いちゃいけないんです。
フェラーリで同じ場所をグルグル回る所から映画は始まり、フェラーリを乗り捨て一本道を歩くところで映画は終ります。 意味もなく故障するし、娘を目的地に送り届けることもできない。
巧く表現できないのですが、乗るたびに尾行を気にするあのフェラーリは、主人公の虚飾というか世間を意識する姿というか、そういう暗喩なのではないでしょうか。
同じところをグルグル回りどこへも行けない自分。 そんな「退屈と孤独と空虚」を抱えた男が、別れた妻の元に身を寄せている(らしき)娘との“ひととき”を経て、虚飾した自分を脱ぎ捨て、自らの足で一本道を歩き始める。その道がどこへ続くのかは分からない。でも「どこか」へつながっているのは間違いない。 たぶんそういう物語。
洗練されてて上品だよ。映像のリズムも音楽もセンスがいい。親父よりセンスいいかも(笑)
余談
双子姉妹と言えば村上春樹の定番だが、まさかポールダンスの出張サービスがあるとは知らなかった。おそらく彼は、ダンスを傍観する側の人間で、自らダンスする人間ではないのだろう。彼が主体的に行動するのは本当にラストだけだ。
(11.04.10 新宿ピカデリーにて鑑賞)
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