[コメント] 浮雲(1955/日)
好みということで云えば、成瀬の中では余り好きな映画ではない。しかし、このルックの統一はどうだ。この厳格さだけでも日本映画にあって屹立しているのは確かだ。また、２人が歩き出し、同じ音楽が流れて来るだけで、思わずニヤついてしまうくらい面白いのだ。
やっぱり、この映画に匹敵するだけの「どろ沼」映画は他に無いような気がする。そう言ってしまえば、ストーリの事を語っているようだが、私が言いたいのは、いかに泥沼で出口が見いだせない状況を画面に出すか、ということ。
例えば、屋内の窓から外の雨（土砂降り）を映し出した画面の素晴らしさ。このシーンの２人のなんと鬱々とした表情。涙があふれ出そうになった。
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