[コメント] 恋の罪(2011/日)
「言葉なんか覚えなければ」動物の性愛があるだけ、ピンク映画のクリシェがあるだけだ。今更それがどうしたと云うのだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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70年代東映のエログロバイオレンスなど想起されるが、比較して相当レベルが落ちる。熟度に欠け、セットも中途半端。秀作『冷たい熱帯魚』と『ヒミズ』の間に撮られた作品とは思われない。園作品は落差が大きい。
全体に、ほおらショックだろ、というショットが上滑りしている。町中で唐突に自殺する女の件など相当に退屈だ。一番面白いのは富樫真と大方斐紗子の母子関係だが、これも突っ込み不足。貴族ってのは性的に倒錯した歴史を抱えているものであり、欧州には先祖が犬とかもっと凄いのが一杯ある。この程度では地味、日本の貴族なんて底が浅いものだ。映画は元ネタがあるらしいが、ネタが退屈ということだ。
カフカやら田村隆一やらの記号は空疎で何も焦点を結ばない。例えば円山町のラブホを「城」に似せるアイディアはいいのだが、内実が伴わず何の迷宮も提示できずにただ平凡な場末があるだけだ。「言葉なんか覚えなければ」動物の性愛があるだけ、ピンク映画のクリシェがあるだけだ。今更それがどうしたと云うのだろう。この程度の堕落論は安吾が半世紀前に済ませており、縮小再生産の誹りを免れない。
ラストで水野美紀が(予告通り)ゴミ袋ぶら下げて歩き続ける件がベストショット。この監督は女を歩かせるとやっぱり一流だ。これを最初に持ってこれなかったものか。これから面白い話が始まる処で映画が終わった。結局、水野の刑事は何しに登場していたのだろう。
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