[コメント] おとなのけんか(2011/仏=独=ポーランド)
映画を見終った人むけのレビューです。
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人の争いごとの理由に「性格が合わない」なんてことをよく言う。 なもんだから人は、やれ血液型だ星座占いだと「性格」という得体の知れないものを可視化しようと躍起になる。 しかし私が思うに、本質は性格ではなく「価値観」の相違なんじゃないだろうか。 だって、血液型が原因の戦争なんて有史以来一度もないんだぜ、たぶん。 もちろん「価値観」を形成する要因の一つとして性格は大きく影響するんだが。
この映画は、三人三様ならぬ四人四様の「価値観」、言い換えれば「一番大切なもの」を具象化し、それらを傷つける。 最も分かりやすい携帯電話をはじめ、バッグ、画集、マイホームの象徴としてのチューリップ。 それら「小さなもの」がちょっと傷つけられたことで逆上する様を見ながら、「人間ってちっちぇーな」と笑う映画なのだ。いいぞ!もっとやれ!
よく分からないのだが、エンデイングの公園の風景は、オープニングの子供たち(主人公の子供ら)が仲直りしているように見える。いやまあ、私の見間違いか深読みし過ぎなのかもしれないけど、実際ハムスターは死んでない。 要するに、けんかの原因なんてその程度のもんさ、という風にも思える。
ただ、どうしてポランスキーなのか(舞台を見たポランスキーが気に入ったらしいが)、そして何故帰れもしない(帰る気もない)アメリカ・ニューヨークのまま映画化したのか、よく分からない。 もしかするとそこに深い意図があるのかもしれない、とも思うのだが、ポランスキー自身が「対岸の火事を笑う」というスタンスで撮った映画なのかもしれない。 お前、よく笑ってられるな。
(12.03.10 TOHOシネマズシャンテにて鑑賞)
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