[コメント] ル・アーヴルの靴みがき(2011/フィンランド=仏=独)
オープニングは前作『街のあかり』の後日譚じゃないか。いろんなものを宙ぶらりんで閉じてしまった前作の落とし前をこゝで早々につけてしまう。ということで、この映画の寓話としての完結性がおもんぱかれるというものだ。ただし、そもそもあらゆる映画は(勿論ドキュメンタリー映画であっても)寓話なのだが。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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だから、多くの観客は本作の御伽噺のようなプロット展開を未成熟なものとして受け止めることはなく、プロットの扱いについては、むしろ映画としての純度を高めていると受け止めるのだ。或いはプロット展開に拘泥することなく、映画に対してあくまでも誠実で卑怯な部分が全然ない演出に感動するのだ。例えば少年イドリッサがマルセルの家から逃げおおせたことを示す窓。なんと簡潔でしかも興奮を覚える演出だろう。ほんの少しドリーで寄っていくということも、不安定な斜め構図になっていることも最高に効果を発揮している。ツボにはまるシーンは人によって色々あると思うけれど(私は難民キャンプの所長との会話で自分のことをアルピノだと言い張るのが一番笑えたが)、何と言ってもリトル・ボブのカッコ良さは本作のストロングポイントだ。彼の歌声をもっともっと聞いていたかった。もしこのチャリティ・コンサートのシーンが後10分ぐらい続いていれば、私は手放しでカウリスマキの最高傑作だ!と叫んでいたに違いない。(我ながら単純ですが。)
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