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[コメント] カエル少年失踪殺人事件(2011/韓国)

韓国映画の描く闇とエゴの禍々しさは一級品。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







いつも思うのだが風景そのものの持つ殺伐さがボディブロウのように効いてくる。昔の日本にもあったような無秩序な区割りや無造作な整備加減が、生活空間の中に死角をもたらしていて人の闇を招き入れるような感じ。冒頭の赤マントの少年が駆け抜ける田舎道がもう怖い。犯罪物を描くうえでロケ場所に恵まれているなぁと思う。都市空間が洗練されてきたせいで最近の韓国映画からは急激に失われているこの暗さは代えがたい。

風景と同時に功名心剥きだしのTVディレクター、大学教授の禍々しさの描き方もいい。日本だと敵対していても情にほだされて割とすぐに手打ちになってしまうようなタイミングがなかなか訪れない。真犯人のサイコパシーはどこの国の映画作家でも描けそうだが、この2人のエゴ剥きだしな感じはなかなか見ることができない気がする。未解決事件だから当然なのだが、作品のテーマは犯罪に対する告発ではなく、犯罪をとりまく好奇と無関心への告発になっていてそこはきちんとしていると思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)寒山拾得[*] disjunctive[*] ぽんしゅう[*]

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