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[コメント] 襲われた幌馬車(1956/米)

本作もほゞ全編ロケーション撮影で、峡谷と渓流、岩山といった地形を活かして見応えのあるルックを創出する、デルマー・デイヴィスらしい、よくできた西部劇ではある。
ゑぎ

 ただし、ビッグネームがリチャード・ウィドマークただ一人、というのは少々寂しい。しかしその分、彼が出ずっぱりで、ほぼ一人でプロットを牽引するので、無駄のない、タイトな出来に仕上がっている面もある。

 ネーム・バリューはイマイチだが、女優は3人登場し、皆綺麗なので、華やかさもある。ヒロインはフェリシア・ファーで、彼女は『去り行く男』(1955)と『決断の3時10分』(1957)でも主要キャストの一人なので、この時期、随分デイヴィスのお気に入りだったことが分かる。あとの2人は、ステファニー・グリフィンスーザン・コーナーだが、彼女らは異母姉妹。かつ、コーナーの母はインディアンであり、グリフィンはそれもあって、白人至上主義者という設定だ。ファーを含めた3人の中では、嫌われ役のグリフィンが一般的には(多分)最も美形であり、ファーは親しみやすい美しさ、コーナーはエキセントリックだが、温和で落ち着いた美人、ということで配役もバランスが取れている。ウィドマークをめぐって、ファーとコーナーとで三角関係を形成してもよいところだが、そんなことはしないのが、良い点でもあり、物足りない点でもある。ただ矢張り、ファーがウィドマークと2人きりになる岩山の上でのラブシーンが、実は本作の白眉と云ってもよいぐらい、ドキドキする良いシーンだ。省略されてはいるが、二人が結ばれたことが端的に示される。

#フェリシア・ファーは、後にジャック・レモン夫人になる人だが、私としてはシーゲル『突破口!』のウォルター・マッソーと寝る秘書役が忘れがたい。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ナム太郎[*] ぽんしゅう[*]

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