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[コメント] 桐島、部活やめるってよ(2012/日)

視線の送受信、誘導、放棄、不在。桐島の視線の不在。教室で窓の外を見る東出昌大と同じように窓外を見る大後寿々花。そのツーショットのカメラアイの時間と感情。神木隆之介が斜め後方の橋本愛の方を見るが、橋本は体をずらし、そのまた斜め後方の大後と目が合ってしまう、といった視線のコントロール。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 また、視線の高低の問題について云えば、大後寿々花は実に3か所で高所から見おろす演出がされており、彼女のちょっと「可愛くない」複雑なキャラ造型が周到に行われていると云える。3か所とは、屋上でサックスの練習をしながらバスケで遊ぶ(ワンオンワンと云うのか)東出らを見る場面、同じ場所(屋上)からだが、ゾンビ映画の撮影で来た神木と言い争う場面、そして、東出と松岡茉優の待ち合わせを土手のような校舎裏から覗く場面だ。さらに、松岡茉優が本作で一番の悪役に描かれているが、この東出との待ち合わせのシーンで大後寿々花を下から見上げる彼女の視線の演出も効いていると思う

 そして映画の帰結は東出昌大の視線の放棄であり、彼の感情とともに我々観客は宙ぶらりんのまま放り出される。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ナム太郎[*] NOM 赤い戦車[*] けにろん[*]

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