[コメント] 病院坂の首縊りの家(1979/日)
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市川監督も思わず「後半、何が何だか解らなくなった」と語るのが頷ける程にシリーズ中最もややこしい人間関係。キーとなる異母姉妹を二役で桜田が、見た目は同じなのに小道具に頼らず、きっちり演じ分けているのに注目。重々しい演技陣の中でトーンが違う一人脳天気な草刈も暗くなりがちな作中に明るい印象を与えて好演。三木のり平筆頭に加藤武、草笛光子らいつものレギュラーメンバーも顔を揃えているのが嬉しい。「殺人鬼は美しく!」を本シリーズのテーマにしていた市川監督の今回の目に叶った美しき殺人鬼はシリーズ初登場の佐久間良子。ミステリアスでも少女臭さのある桜田には醸し出せない熟女の誘発するような妖艶さが目を奪う。風鈴から真実を知り狼狽する瞬間もハッとしていて魅せるのだが、やはりラストの車夫である小林の引く車の中で毒を含み、一筋の血を唇から流しながら死する場面は圧巻。一陣の風が直後にその車の窓幕を下ろし、その背後の坂の上にマントを翻した金田一が去ってゆく一連の演出は胸に迫る。例によって美しい日本の美を捉えたロケーションもたっぷり挿入され満足なのだが、作家役で登場の横溝の演技が頂けないのが残念。さらに彼の遠縁の女子大生役で登場する中井貴恵の棒読みは卒倒しそうになる。桜田は劇中JAZZナンバーも披露するが意外にこれも変じゃない。多少の脚本上の疑問も無くは無いが、あっさり許せる秀作。このシリーズをもう一度、市川監督に撮って欲しいと観終わって改めて実感。
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