[コメント] 偽りなき者(2012/デンマーク)
殺し殺されるハンターの不条理は、デンマークの美しい森が仕組んだ因果応報譚のよう。主人公と娘だけのインティメイトな会話、白い液と聞いて嘔吐する女上司などリアルを喚起する断片が篦棒に巧い。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ケン・ローチの影響下にある作風になっているが、彼が観ても嫉妬する出来映えだろう。冒頭の裸の水浴はやはり『イディオッツ』系が始まったのかと思ったが、見終えて振り返るとある意味正解だった。娘の親父さんを主人公にしても傑作になるたろうが、そんなことは作者は承知のうえの選択に違いない。俳優の適材適所振りもレベル高い。突然殴りかかる肉屋など、もうこの人しかいないという凄みがある。
ラストで唐突に神話にして〆る呼吸は脱帽もの。線(人間界と自然界との境界)を飛び越えるのを恐れる娘は、平気で飛び越える大人を、自然界に憑依された代執行人として罰したのだと突然明らかになり、息子もまたそうするのであった。
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