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[コメント] 嘆きのピエタ(2012/韓国)

だいぶシンプルに回帰してるけど、ギドク節が戻ってきた。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







以前から言っているのですが、キム・ギドクの描く「愛」とやらは、押し付けがましいというか、暑苦しい印象があるのです。それが彼独自のものなのか、お国柄なのか、はたまたキリスト教的なものなのか分かりませんが。 しかし不思議なもんで、癖になるとやめられない。くさやの干物みたいなもんですな。ま、私はくさやの干物食べないんで、ブルーチーズくらいにしときましょうか。俺ねえ、いま『悪い男』とか観直したら5点付けると思うもん。

この映画で興味深いのは、「ピエタ」というくらいだから当然なのかもしれませんが、何らかの手段を講じようとするのが全て女性という点です。

主人公に近づく「母」は当然のことながら、その「母」を突き落とそうとするのも、別の被害者の母なのです。さらに、母ではありませんが、最終的に主人公にトドメを刺す結果となってしまうのも、また女性。 さらに言うなら、キム・ギドクは、彼女達の手を実際には汚させない。彼女達は未遂、あるいは無自覚なままなのです。

そこにあるのは、主人公が自ら贖罪の道を選択することも含め、キム・ギドクの“愛”だと思うのです。 冒頭に、彼の描く愛は押し付けがましいと書きましたが、物語上は暑苦しくとも、その背後にはひっそりと、隠し味のようにギドクの愛が横たわっているように思えるのです。

(13.07.15 渋谷Bunkamuraル・シネマにて鑑賞)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)IN4MATION[*] 煽尼采 minoru ぽんしゅう[*]

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