[コメント] 地獄でなぜ悪い(2013/日)
「地獄でなぜ悪い」か、私なりに回答を試みよう。「地獄」なる何かが先立って存在し、それに対して「良い」「悪い」といった価値判断が下されたのではない。ある種の「悪い」場/状態/もの/ことを、あるとき人は「地獄」と名づけたのだ。したがって件の問いは問いとして成立しない。無意義の文である。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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さて、この映画に対する破綻や滅茶の指摘は演出家にとって織込み済みの反応で、またそれこそが企まれているのだから、その制作態度は三振覚悟で本塁打を狙った大振りというより、むしろ犠打的であるとでも喩えておいたほうが適当だろう。ただし、犠打といえども失敗して併殺を招く危険は常に抱えており、それを成功させるには一定以上の技術が要求されるに違いない。
根拠不詳の説得力で巧みにスタッフやキャストを差配してしまう長谷川博己は、おそらく映画監督がある種の理想とする映画監督像だろう。彼が無闇に跳ね回ったり嬉々として弁舌を振るったりしているのを眺める分にはそれなりに愉しめるが、終盤の長大なスプラッタ・シークェンスをこれ見よがしの戯画調に演出してしまうというのは真におたんちんの所業と云わざるを得ない。撮影=殺戮という現実離れした戯画的状況だからこそ、却って取り澄ました写実演出の採用が喜劇の興趣を実り豊かにもたらしたはずだ。
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