[コメント] 愛の渦(2014/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
見終わってからの感想は、面白かったけれど内容がないわな。セックスそのものを突き詰めた映画っていうんだったら、他にもゴマンとある。多少恋しかけた青年のむずむずさは出てはいてもそれもあっけななくしぼんでしまう。(でもここは納得)
結局僕には三浦のこの映画への意図がはっきりしてないのが今苛つく原因であります。映画では何を撮りたいのか、小説・詩と同様に作品から自然と湧き出てくるはずです。隠しても出てくるはずです。この作品にはそれがない。(僕がそう思ってるだけだと言われてしまえばそれまでだが)
セックスそれ自体を描いたものではない。そうだとして、男と女の愛を描いたものでもない。(前述したように多少はあったが、、)10人の男と女の心の概念を描いたものでもない。だとしたらこの映画は一体全体何ものなのか。
多少ポルノ的に面白いものだったらそれなりに心の向きを操縦できるんですよね。一応映像ではあらゆる行為は見せてはいても風景的だ。彼らの行為に良くも悪くも入っていけない。眺めているだけだ。
要するに人間の通常の本能的な行為を見ていて何も感じないというのがヘンなのだ。
見方を俗っぽく変えて、大体男2万円、女1千円って安過ぎない?これじゃ経費を考えてもこのビジネスは成立しない。三浦のことだから、このメニュー単価に何か意味があるのだろうか。
また、10人の男女の造形が型にはまりすぎているというか、計算され過ぎである。展開が読めてしまうのである。ある意味安定志向である。
だいたいああいう所で本当の職業なんていう奴がいるわけがないだろう、に。それに意味を持たせているのも不思議だ。
とか、いろいろ愚痴ってるけれど、演出そのものは結構重厚で映画としての出来もいい。2時間しっかり見させてくれている。力作に入るだろう。全体的には三浦を褒めてあげたいと思うのだ。
セックスに至るまでいろいろ面倒なことが多いので、とかこの映画の作る契機を三浦は説明しているが、そうだとしたら、そういうものには結局何も生まれないし一夜の快楽と残滓があるだけなのだ、と思う。
そういう何もないのを分かっててこの映画作ったのだとしたら、この映画を作ることで何かを発見しようとしたのだったら、そういう映画制作スタイルというのもあるのかもしれない。映画って自由なんだから。
でもこの映画から三浦の体温を感じなかったのは僕だけだろうか、、。
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