[コメント] ゴーン・ガール(2014/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
なかなか激しい映画でした、うん。
割と早い段階で、失踪は狂言で、妻エイミーの策略だったことが判る。が、それでも面白さを失ってない。
妻の仕掛けにまんまとはまり、次々にニックは窮地に追い込まれる。相当エイミーは「キレ者」だと判る。
と、思ったら、意外なところでドジを踏む。頭悪そう(実は意外に賢い)な女と、バカ男に、まんまと有り金を奪われてしまう。
もし、この時にお金を取られなかったら、この後どうなっていたのだろう?という「もしも」をちょっと見てみたい。
そして、「昔のストーカー男に助けを乞う」「こいつウザい」「自由になるために、コイツ殺そう」「仕方ないから夫のところに戻ろう」とか、意外に行き当たりばったり。頭いいけど「ピース」が見つからないと、ドジなところが出てくる。それが「人間味」なのかもしれない(ゆがんでるけど)。別荘のTVで、夫のインタビューを見て、ある意味「惚れ直した」ところは、なかなかの演出と演技。
夫のニック。見るものとしては「嵌められた男」として、彼の目線で映画を見ることになる。そして妹の家にいて、なにか怪しい気配を感じる。何かあるのか!?と、ホラー的なカメラワークの後、突然の「巨乳女」の登場。そこで、見るものは裏切られる。何だ、この女?えっ、ココでヤるの?えっ、裸のまま眠っちゃったよ。そのあと、妹がブチ切れるのは、映画見るものの代弁。なんなんだ、お前は?
これでニックも、「理想的な夫」とかではなく、「ダメ男!!」ってのがよく判る。それもかなりの「浅はかさ」。そしてエイミーが戻ってくる。見所はその後。
ある意味、物語は起承転結の「結」になり、もういろんなことが暴かれて、ごちゃごちゃになって・・・と思ったら、ココからが本当の見所。けっこうじっくりと描いてます。ある意味の「直接対決」。「それが結婚でしょ?」と名言(迷言?)も生まれて、「玉虫色の決着」で物語は終わる。いや、終わっても、かなりの「危うい繋がり」で結ばれた「本物のニセ夫婦」の誕生。結構「お似合い」のふたり。
おそらく、そう遠くないうちに「新たな事件」が起きそうだというのは明白?
もうひとつこの映画を見ていくうえで大事なのが「マスコミ」。それが皮肉たっぷりに描かれている。ワイドショーか何かで、女司会者がもう、悪意たっぷりに事件を伝え、コメンテーターの専門家?みたいなやつが、アレコレ言って煽る。これぞ「マスコミ!」って感じ、それに踊らされる一般市民。これは何もアメリカだけの話ではなく、日本だって実際に同じだ。
何か関心の高い事件が起きると、「取材」の名の下、被害者も加害者も容疑者も親族も関係なしに、プライバシーをほじくりまわす。言いたいことだけ言って、やりたいことだけやって、興味がなくなると、潮が引くみたいにいなくなる。「真実を探求する」とかではなく「野次馬のごとく」荒らしまわり、それをTVや雑誌やネットなどのメディアを見て、私たちはみな一人ひとりが「裁判官」や「警察官」になったかように、欲求だけを満たしていく。
と、そんな私たちには「こういうお話」は、最高に刺激的なのかもしれない。
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