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[コメント] さらば、愛の言葉よ(2014/仏)

この画面こそ、3Dでないと成立しない、と云った意味で、人類が得た初めての3D映画だろう。『ゼロ・グラビティ』の100倍は驚くべきだ。
ゑぎ

 これも「映画なのか」と疑問を感じる、ゴダールという「イベント」だと云った方が良い、しかし、紛れもなく映画の触感も残した稀有の体験だ。

 犬の映画。ノイズの映画。音楽や家具を引きずると云った生活音の突然の音量にも驚かされるが、当然ながら、本作もゴダールらしい画面のノイズが満ち満ちている。左目の画面を固定して右にパンニングし、右目と左目を異なる画面にする、一種の(特殊な)ディゾルブ(オーバーラップ)の実現なんて、何んとノイジーな、既存の3D映画に対する悪意と嘲弄だろう。

 まあ、ゴダールはいつまでたってもゴダールだと思いながら、しかし、例えば傑作『ウィークエンド』と同様な強度の映画だと思いながら(かの映画では、エミール・ブロンテ。本作では「フランケンシュタイン」を執筆するメアリー・シェリーが登場する)、しかし、例えば『ウィークエンド』を見てしまった観客としては、もっともっと刺激が欲しいという感慨もある。

 犬の映画。犬が一番、一貫したキャラクタリゼーション。犬が出てくるとホッとする。

(評価:★3)

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