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[コメント] あん(2015/日=仏=独)

幽閉状態で数十年を過ごしてきた徳江(樹木希林)にとって、人以外の森羅万象との対話は必然であっただろう。にもかかわらず、人との交流を求め、万感の喜びを得るものの、そのつかの間の安らぎを一方的に断ち切るのもまた、心ない人の情であるという悲しさ。
ぽんしゅう

そんな人の業を、受け止め、いなす、徳江の諦念を樹木希林は慎み深い喜怒哀楽で表現する。理不尽な人生を生きた老女の、悲しみを秘めた感情の発露として絶妙だ。そこに感情の過剰さはなく、八百万の神を崇め対話した者の神々しさが漂う。

(評価:★4)

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