[コメント] 家族はつらいよ(2016/日)
楽しく笑えて面白かった!山田洋次監督の、1970年代の喜劇スタイルだが、今の世相を取り入れるのが抜群にうまいから、今でもふつうに笑える。そして数十年たってもありそうな人情話だから、多分そのときでも笑える。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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脳梗塞で倒れてもその場の処置が的確で迅速なら大事にはいたらない、というのは今では一般的な常識か。それに数十年暮らした住宅街が、人通りが少なくなって空き家が多くなっているのは、現代そのもの。
うなぎ登りの値上がりに、財布から数万円の出費に顔をひそめる主婦といい、普通にどこでもありそうな話ばかりを集めて喜劇として見せる。
それに笑福亭釣瓶の登場の仕方がまたいい。往年の山田洋次の映画ではどこかで渥美清がああいう形で顔を見せて観客の笑いを誘った。ここ何年かの作品を撮る中で、ようやくそれに匹敵する役者たちをそろえることができたようにも見えて、まことに喜ばしい。できるものならこの顔ぶれの喜劇をもう何本か、観たいものだ。まさに山田洋次の真骨頂と言える一本だった。
あとまあ、タイトルからしてそうだし、出演者までもかと思わせておいて、さらにその上、劇中には堂々と自らの『東京物語』上映会のポスターはあるは、古き良き映画館では『男はつらいよ』シリーズのリバイバル上映のポスターは出てくるは、味のある脇役の出前持ちは「男はつらいよ」を鼻歌で歌うわという、実に見上げたセルフパロディの心意気というかなんというか。
止めはラストでオリジナル『東京物語』のDVDとは…半分、「生ける伝説」と化してるんじゃないかと思いながらも、とっても気安い監督の姿勢はそれだけでも☆5だな。
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