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[コメント] スポットライト 世紀のスクープ(2015/米)

この題材で回想、フラッシュバックは一切なしか。これは本作のとても良い点だ。また、全体に素直な撮影で、奇を衒ったような構図や動きはない。これも好感が持てる。
ゑぎ

 ただ、その反面、ピンポイントでもいいから、外連味のある画面があってもいいのにな、とも思う。『大統領の陰謀』の俯瞰撮影(後退移動)なんかを懐かしく思い出してしまった。

 しかし、俳優へのディレクションやプロット展開では、違和感を覚える部分が多々ある。まず、マーク・ラファロの顔演技がイヤだ。彼一人だけ、どうしてこんな臭いディレクションをつけられているのだろうと思う。あるいは、撮影のケレンが排除されているのは良い点だとしても、プロット展開においては、もっと映画らしい場面の設定があってもいいと感じた。主人公たちと教会側との摩擦がほとんど描かれない、と共に、新聞社内における衝突のようなものも、ほゞ描かれないのだ。それが事実だったのだとしても、映画としては、面白さが限定的だと感じる。神父たちの酷い行いも案外ふわっと言及されるだけで、ショッキング過ぎないよう描かれており、当事者の神父を詰める、というような場面もほゞ出てこないのは甘いとも思う。

 そもそも、新聞社の新しい代表−リーヴ・シュレイバーの正義感からプロットがスタートし、結局、記者たちもシュレイバーに動かされた感が強い、という見せ方になっているのも、プロットを駆動する力が弱いと私は思う。あと、瑣末な部分かも知れないが、終盤の、教会の子供聖歌隊による「きよしこの夜」歌唱を見るラファロの場面挿入なんて、これみよがしなカッティングで好きじゃない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)jollyjoker[*] 緑雨[*] ぽんしゅう[*]

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